中国では病気になる前の体調不良を「未病」として治療の対象とする。西洋医学では単なる不定愁訴として片づけられてしまうような症状でも、病気になる前触れとしてバランスの崩れを整える治療を行うのである。この 「未病」は投薬だけでなく、食事で治すことも重んじられる。「薬膳」である。さらに、日々の食事は薬と同じであり、食べるものに心を配るよう教えているのが「医食同源」。中国では長い歴史の中で積み重ねられた経験則によって、日々ごく普通に食べられるものを食品、特に薬効の高いものを生薬として分類してきた。薬と生薬の境目は時としてかなり曖昧で、生薬の中には丁香(クローブ)のようなスパイスや、核桃(クルミ)といった食品も実は多い。現代栄養学でも食品の中に様々な病気に対する予防の力があることが発見されつつある。「医食同源」は古いようで新しい食の知恵なのだ。